七夕

笹の葉さらさら
僕の頭を撫でた
片手はぶらぶら
君に届かない

静かな静かな七夕の夜
僕らの天上では星の逢瀬
僕らの天井には涙の雨漏り

天の川が僕らを隔てることはないよ
僕らに隔たりができたのは偽りからだもん
偽りの欠片、溜め息の星屑が重なって
僕らの天の川をつくったんだ
「綺麗でしょ」なんて嘘でも言えないよ
これは輝きなど知らない天の川だもん
この空の下で綺麗なのは
きっと君の心と横顔だけ

僕にはもう届かない、綺麗な綺麗な織姫様
どうかどうか、幸せになってください
彦星の役は僕には務まらないから
せめて散らばる星屑を空から取り除いて
君がどこへでもゆけるようにしてあげる
涙の雨漏りは僕のものだけになって
星の逢瀬の主人公は君になるんだ
三日月のスポットライトを浴びて
さあ、素敵な彦星を迎えるんだ

織姫が君じゃなきゃ駄目なのは、僕だけ
君は彦星なんて、僕じゃなくても良いんでしょ？
僕の夜空に溜め息の星屑が散らばる

「星が綺麗だね」
ぶらぶらしていた僕の片手を握って
君は優しく笑った
「…どうしてどこかへいっちゃうの。君じゃなきゃ駄目なのに」
流れ星のような煌めきを帯びた言葉
夢じゃない、七夕午前零時

「「ごめんね」」
重ねた言葉がきらきら光った
夜空の天の川より、ずっと、ずっと



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投稿時間に気を配ってみた