ドント式どんと祭

そんな訳でDon't worry!

その時私は何が起こったか分からなかった。世界が一瞬真っ暗になったかと思うと、鈍い痛みが顔面から後頭部へ、じわりと広がった。
正面衝突である。私の人生に於いて初の、ドッヂボールとの顔面正面衝突である。
痛みとは別の涙が出た。それは数分止まらなかった。私は何処かのいじめられっ子のように、体育館のトイレの個室でうずくまってトイレットペーパーに助けを求めていた。何と惨めなことだろう。
惨めも惨め、只の馬鹿のように突っ立ってボールに激突したのが恥ずかしかった。己の運動神経の鈍さが酷く恨めしい。

保健室で湿布を貼ってもらった。先生は「ドッヂで持っていかれたかー」と呟いた。
私はその言葉にハガレンを思い出して、ああ持って行かれました、笑いながら頷いた。
どうやら頭への衝撃が首肩まで広がったようで、明日の朝は多少痛むだろうと診断された。要するに打ち身の類だ。
だでぃが心配して見にやってきた。忝ない。友人とはいいものである、痛感した。

教室に戻って授業を受けた。
湿布臭い。
周囲に申し訳ない。早く終わってくれ、と内心焦りながら、私はうとうとしてしまった。申し訳ない。

現在振り向くのが困難な状況であるが日常生活には支障なしと思われる。
心配してくれた友人たち、ありがとう。お慕いしております。

明日私の首肩はどうなっているのか。乞うご期待。
あっ何だかんだで弁当食いきってない。しかし湿布臭い。ご飯を食べるとしよう。

ああ、私からは今、爽やかなハーブの香りがしている。
良い夜である。こんな夜は模試なぞ諦めて休むに限るのではないだろうか。

了